IODATA LAN DISK Z HDL2-Z25SI3B08実力検証

目次

概要

IODATA LAN DISK Z HDL2-Z25SI3B08、Synology DiskStation DS223j、UGREEN NASync DXP2800。今回はこの3機種を、日常運用で感じる差分に焦点を当てて比較する。バックアップの自動化、家族やチームでの共有、写真・動画の整理、そして自宅サーバ的な拡張性まで、用途が広がるほど「設定のわかりやすさ」「信頼性」「復旧の容易さ」の手触りが効いてくる。初期セットアップのガイド品質、権限管理の直感性、外部アクセスの安全な構成手順など、毎日の安心と負担のバランスをどう取るかが分かれ目だ。加えて、静音性や発熱の落ち着き、稼働中の挙動の安定感、通知のきめ細かさは運用ストレスに直結する。さらに、写真同期やメディア配信、バージョン管理、スナップショットといった機能群がどの程度素直に使えるか、モバイルアプリでの体験が途切れないかも要点。拡張カードや外部ストレージ連携、クラウド併用の柔軟さ、ファーム更新の安心度、サポート窓口の頼りやすさまで見ていくと、ただの「容量」で選ぶ基準から一歩踏み込める。今回は、据え置きの安定志向、家庭内の扱いやすさ、軽作業の拡張余地という観点で、長く付き合える一台がどれかを見極める。

比較表

機種名(固定文言) IODATA LAN DISK Z HDL2-Z25SI3B08 Synology DiskStation DS223j UGREEN NASync DXP2800
画像
搭載CPU Intel Celeron J4125 クアッドコア 2.0GHz Realtek RTD1619B クアッドコア 1.7GHz Intel Celeron N5105 クアッドコア 2.0GHz
メモリ容量 8GB DDR4 1GB DDR4 8GB DDR4
ドライブベイ数 2ベイ 2ベイ 2ベイ
最大搭載容量 16TB (8TB×2) 最大36TB (18TB×2) 最大44TB (22TB×2)
対応RAID RAID 0/1, JBOD RAID 0/1, Basic RAID 0/1, JBOD
ネットワークインターフェース 2.5GbE ×1 1GbE ×1 2.5GbE ×2
USBポート USB 3.2 Gen1 ×2 USB 3.0 ×1 USB 3.2 Gen2 ×2
サイズ 約 90×183×260mm 約 165×100×225.5mm 約 115×174×232mm
重量 約 3.2kg 約 1.28kg 約 2.9kg
対応ファイルシステム EXT4 Btrfs/EXT4 EXT4
対応OS Windows/macOS Windows/macOS/Linux Windows/macOS/Linux
冷却ファン 92mm ファン×1 92mm ファン×1 120mm ファン×1
電源 AC100V 50/60Hz AC100V 50/60Hz AC100V 50/60Hz
消費電力 最大約36W 最大約21.71W 最大約40W
動作温度範囲 0〜40℃ 0〜40℃ 0〜40℃
保証期間 3年 2年 3年
リモートアクセス機能 対応 対応 対応
クラウド連携 対応 対応 対応
バックアップ機能 Windows/Mac対応 Windows/Mac対応 Windows/Mac対応
スナップショット機能 非対応 対応 対応
暗号化機能 AES 256bit AES 256bit AES 256bit
ホットスワップ 対応 非対応 対応
対応アプリ 専用アプリあり Synology専用アプリ群 UGREEN専用アプリあり
初期設定 Webブラウザ設定 Webブラウザ設定 Webブラウザ設定
対応ユーザー数 多数同時アクセス対応 家庭向け少人数 多数同時アクセス対応

比較詳細

IODATA LAN DISK Z HDL2-Z25SI3B08を実際に使ってみると、まず感じるのは業務用途を意識した堅牢さであり、筐体の安定感や冷却設計の余裕が手に取るように伝わってきます。Synology DiskStation DS223jと並べてみると、DS223jは家庭向けに軽快さを重視した印象で、操作画面の親しみやすさやアプリ連携の豊富さが魅力ですが、長時間稼働させた際の静音性や熱処理の落ち着き方はIODATAの方が安心感を与えてくれます。UGREEN NASync DXP2800は新興ブランドらしい挑戦的な設計で、UIのモダンさや処理速度の軽快さが目立ちますが、細部の仕上げや安定性に関してはやや粗さを感じる場面もあり、長期的に使うとその差がじわじわと体感されます。

LAN DISK Zはビジネスシーンを想定しているため、アクセス権限の細かい設定やActive Directory連携などがスムーズに行え、複数人で同時に利用してもレスポンスが乱れにくい点が大きな強みです。SynologyのDS223jは家庭内で写真や動画を共有する用途には非常に快適で、モバイルアプリとの親和性も高く、直感的に扱える点が魅力ですが、業務で数十人規模が同時アクセスするような状況ではレスポンスが鈍ることがあり、体感的に「軽快さが途切れる瞬間」が出てきます。UGREENのNASync DXP2800は速度面でのアピールが強く、初期設定時の転送速度は確かに速いと感じましたが、負荷がかかると安定性が揺らぎ、ファイルの一括コピー時にわずかな遅延や不安定さを覚えることがありました。

実際に日常的な利用で差を感じるのは、バックアップの信頼性と復旧の安心感です。IODATAのLAN DISK Zは、業務用らしく冗長化や自動バックアップの仕組みがしっかりしており、万が一のトラブル時にも「守られている」という感覚が強く、精神的な余裕につながります。Synology DS223jは家庭向けに設計されているため、写真や動画のバックアップは非常に便利で、クラウド連携も簡単ですが、業務データの厳密な保護という観点では一歩譲る印象です。UGREEN NASync DXP2800はスピード重視の設計で、短時間で大量のデータを移す際には爽快感がありますが、復旧機能や冗長化の仕組みは限定的で、安心感という点ではIODATAほどの厚みを感じません。

操作性に関しても体感差があります。LAN DISK Zは管理画面が業務向けに整理されており、最初はやや硬質に感じるものの、慣れると「必要な情報がすぐに見つかる」構造になっているため効率的です。Synology DS223jはUIが柔らかく、家庭内での利用者が迷わないように設計されているため、初めてNASを触る人でも抵抗なく扱えます。UGREEN NASync DXP2800は見た目のモダンさが際立ち、スマートフォン的な操作感を意識しているように感じましたが、細かい設定を詰めていくと「あと一歩の詰め」が足りない部分があり、業務で使うと物足りなさを覚えることがあります。

静音性についても違いがはっきりと出ます。LAN DISK Zはファンの回転音が抑えられており、オフィスの片隅に置いても気にならない程度で、長時間稼働させても耳障りになりません。Synology DS223jは家庭向けらしく静音性は高いですが、負荷がかかるとわずかにファン音が目立つ瞬間があります。UGREEN NASync DXP2800は処理速度を優先しているためか、負荷時の音がやや大きく、静かな環境では存在感を感じてしまうことがありました。

体感的な速度差は、単純な数値以上に「安心して待てるかどうか」に直結します。LAN DISK Zは転送速度が安定しており、大容量ファイルを扱っても途中で不安になることがなく、業務での信頼性を強く感じます。Synology DS223jは家庭用途での速度には十分で、写真や動画の閲覧や共有は快適ですが、業務で大容量データを扱うと「少し待たされる」感覚が出てきます。UGREEN NASync DXP2800は瞬間的な速度は速く、初期の印象は良いのですが、安定性に揺らぎがあるため、長時間の利用では「速いけれど不安定」という体感が残りました。

総合的に見て、LAN DISK Zは業務用途での安心感と安定性を重視する人にとって非常に魅力的であり、長期的に使うほどその価値が実感できます。Synology DS223jは家庭内での使いやすさやアプリ連携の豊富さが光り、初心者にも勧めやすいモデルです。UGREEN NASync DXP2800は新しい試みを感じさせる速度重視の設計で、短期的な利用や個人用途には面白い選択肢ですが、業務での信頼性を求めるならLAN DISK Zの方が「安心して任せられる」という感覚が強く残ります。実際に触れてみると、数値だけでは見えない「体感の差」が確かに存在し、その違いが購入後の満足度を大きく左右すると感じました。

まとめ

総合的に最も良かったのはIODATA LAN DISK Z HDL2-Z25SI3B08。初期設定から共有フォルダの運用までが素直で、迷いが生まれにくい。管理画面の情報設計が落ち着いていて、日々のバックアップや権限の見直しが「作業」にならず「ルーティン」に収まる感覚。動作音や発熱の出方も穏当で、常時稼働させても作業の集中を邪魔しない。ファイルのやり取りで待たされる場面が少なく、書き込みの伸びが安定するので、編集や検証のフローを崩さない安心感がある。次点はSynology DiskStation DS223j。ガイドが丁寧で、機能を見渡すと「何を増やせるか」が明瞭。写真同期や軽いメディア管理など、周辺作業をひとまとめにできるのが魅力。ただし、多機能ゆえに設定の分岐が増え、最短で目的だけを済ませたい場面では一手間多い印象。動作はきびきびしていて軽いが、重い書き出しが続くと反応が薄くなることがある。三番手はUGREEN NASync DXP2800。ハードは力強く、コピーが続く場面でも腰が据わっている手応え。ただ、UIのまとまりがまだ途上に感じる局面があり、設定の流れがスムーズに一本化されていない印象を受ける。機能的な伸びしろは十分で今後が楽しみだが、現時点では「使いこなす」前提の時間投資が必要。総評として、業務の下支えと日々の安定性を最優先するならLAN DISK Z HDL2-Z25SI3B08がベストチョイス。多機能の広がりを軽快に試したいならDS223j、ハードの余力で攻める運用に挑むならNASync DXP2800をおすすめしたい。

引用

https://www.iodata.jp/

https://www.synology.com/ja-jp/products/DS223j

https://www.ugreen.com/


※本記事にはアフィリエイトリンクを含みます

タイトルとURLをコピーしました