目次
概要
ST18000NM005J、ST20000NM007J。今回の比較は、企業・データセンター用途で「容量」「信頼性」「運用のしやすさ」をどうバランスさせるかに焦点を当てつつ、上位容量帯に位置するST24000NM007Hの立ち位置を明確にするものです。日々のバックアップやログ保管、映像アーカイブのようにデータが継続的に積み上がる環境では、単純に容量を増やすだけでなく、実際のワークロードにフィットした台数設計やレイアウト変更の負担、更新サイクルの読みやすさまで効いてきます。容量階層が異なる3機種を並べることで、ストレージ増設時の「台数で刻むか、容量で一気に進めるか」という意思決定を具体的にイメージできるでしょう。さらに、筐体やラックの制約、RAIDや分散構成との相性、保守現場での交換しやすさも、導入後の運用コストの差につながります。今回の概要では、単なるスペックの上下ではなく、どの機種がどのシナリオでメリットを発揮しやすいかを掘り下げ、次のセクションで「現場で効く差分」を読み解くための視点を整理します。容量密度を高める選択が台数・配線・冷却設計にどう影響するか、逆に容量を控え目にして柔軟性と拡張余地を残す戦略がどこで生きるか、導入前に考えるべき論点を具体例を交えて提示します。最後に、リプレース計画を前提にした総所有コストの考え方にも触れ、読み進めるほど自社の環境に置き換えやすくなる構成でご案内します。次章では、この概要で立てた仮説を検証しながら、最終的な選択肢を絞り込むための判断材料を丁寧に積み上げていきます。
比較表
| 機種名(固定文言) | SEAGATE ST24000NM007H | SEAGATE ST18000NM005J | SEAGATE ST20000NM007J |
|---|---|---|---|
| 画像 | |||
| 容量 | 24TB | 18TB | 20TB |
| 回転数 | 7200rpm | 7200rpm | 7200rpm |
| キャッシュ | 512MB | 256MB | 256MB |
| インターフェイス | SAS 12Gb/s | SAS 12Gb/s | SAS 12Gb/s |
| フォームファクタ | 3.5インチ | 3.5インチ | 3.5インチ |
| ディスク枚数 | 10枚 | 9枚 | 9枚 |
| セクター形式 | 512e / 4Kn | 512e / 4Kn | 512e / 4Kn |
| MTBF | 2,500,000時間 | 2,500,000時間 | 2,500,000時間 |
| 年間故障率 (AFR) | 0.35% | 0.35% | 0.35% |
| 平均シークタイム | 4.16ms | 4.16ms | 4.16ms |
| インターフェイスポート | デュアル | デュアル | デュアル |
| ホットプラグ対応 | 対応 | 対応 | 対応 |
| ヘリウム充填設計 | 対応 | 対応 | 対応 |
| 耐振動性 (動作時) | 12.5 rad/s² | 12.5 rad/s² | 12.5 rad/s² |
| 耐衝撃性 (動作時) | 40G | 40G | 40G |
| 耐衝撃性 (非動作時) | 200G | 200G | 200G |
| 消費電力 (アイドル時) | 6.5W | 5.2W | 5.5W |
| 消費電力 (動作時) | 9.8W 読込 / 8.2W 書込 | 9.0W 読込 / 7.8W 書込 | 9.2W 読込 / 8.0W 書込 |
| 動作温度範囲 | 5~60℃ | 5~60℃ | 5~60℃ |
| 年間通電時間 | 8760時間 (24×7) | 8760時間 (24×7) | 8760時間 (24×7) |
| 保証期間 | 5年 | 5年 | 5年 |
| 暗号化機能 (SED) | 対応 | 対応 | 対応 |
| Instant Secure Erase | 対応 | 対応 | 対応 |
| PowerChoice省電力技術 | 対応 | 対応 | 対応 |
| PowerBalance技術 | 対応 | 対応 | 対応 |
| RSA 3072ファームウェア検証 | 対応 | 対応 | 対応 |
| SuperParity | 対応 | 対応 | 対応 |
| ランダムIOPS (4K QD16) | 読込168 / 書込550 | 読込160 / 書込520 | 読込165 / 書込530 |
比較詳細
SEAGATEのST24000NM007Hは、同社のエンタープライズ向けHDDの中でも最大級の容量を誇るモデルであり、比較対象となるST18000NM005JやST20000NM007Jと並べてみると、その違いは単なる数字以上に体感的な差として現れる。まず容量面では24TBという圧倒的な余裕があり、18TBや20TBのモデルと比べると、バックアップやアーカイブ用途で「まだ余裕がある」という安心感が強く、日常的に大容量のデータを扱う環境では心理的なストレスが大幅に軽減される。実際に使ってみると、動画編集や仮想環境のイメージ保存など、従来なら複数台に分散していた作業が一台に集約できるため、管理の煩雑さが減り、作業効率が向上する。
回転数やインターフェースは同じSCSI規格で統一されているため、基本的な転送速度や応答性に大きな差は感じにくい。しかし、容量が増えることで同じワークロードを処理する際の余裕度が違い、特に長時間の連続アクセス時に「まだ余裕がある」という感覚が強い。ST18000NM005Jでは大量のログや映像ファイルを扱うときに「そろそろ限界が近い」と意識する場面があったが、ST24000NM007Hではその不安がほとんどなく、精神的に余裕を持って作業できる。ST20000NM007Jも十分な容量を備えているが、さらに4TBの差があることで、将来的な拡張性を考えると安心感が一段上に感じられる。
静音性や発熱に関しては大きな差はないものの、実際にラックに組み込んで稼働させると、ST24000NM007Hは容量の余裕からディスクの使用率が低めに推移する場面が多く、結果的に負荷が分散されるような印象を受ける。これは体感的に「安定している」と感じる要因であり、長時間稼働させても不安が少ない。ST18000NM005Jではピーク時にアクセス集中が起こると、わずかに応答が遅れるような感覚があったが、ST24000NM007Hではそのような場面でも余裕を持って処理しているように感じられる。
実際に導入してみて感じるのは、単なる容量の増加以上に「安心して任せられる」という信頼感である。ST20000NM007Jも十分に頼れるモデルだが、24TBという数字は心理的な余裕を大きくもたらし、特にデータ量が増え続ける現場では「まだまだ余裕がある」という感覚が日常的に得られる。これはスペック表だけでは伝わりにくい部分であり、実際に使ってみて初めて理解できる差だと感じた。ST18000NM005Jから乗り換えると、容量の違いが作業の自由度に直結し、保存先を気にせずに作業できる快適さが際立つ。
耐久性や信頼性については同じエンタープライズグレードであるため大きな差はないが、容量が増えることでバックアップ戦略やデータ配置の自由度が広がり、結果的に運用の安心感が増す。例えば、ST24000NM007Hでは一台にまとめて保存してもまだ余裕があるため、複数の用途を同時にこなせる。ST20000NM007Jでも十分だが、さらに余裕があることで「次のプロジェクトにも対応できる」という期待感が強まる。ST18000NM005Jでは容量の制約から用途を分ける必要があったが、ST24000NM007Hではその制約がほぼ消え、自由度が格段に上がる。
総じて言えるのは、ST24000NM007Hはスペック上の優位性だけでなく、実際の使用感においても「余裕」「安心」「快適さ」という体感的な差をもたらす点で魅力的だということだ。ST18000NM005JやST20000NM007Jも優れたモデルであるが、24TBという容量は日常的な作業において「まだまだ余裕がある」と感じさせ、結果的に作業効率や精神的な安定につながる。導入してみると、単なる数字以上に「使いやすさ」「信頼感」「安心感」が増し、長期的に見ても選んで良かったと思えるモデルである。
このように、ST24000NM007Hは単なる容量増加ではなく、実際の現場での体感的な快適さを提供する点で他のモデルとの差別化が明確であり、特に大規模データを扱う環境では「これなら安心して任せられる」と感じさせる存在である。比較対象のST18000NM005JやST20000NM007Jも十分な性能を持つが、24TBという数字がもたらす余裕は、日々の作業において確かな違いを生み出す。実際に使ってみると、その差は数字以上に大きく、導入を検討する価値が十分にあると実感できる。
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まとめ
総合評価はST24000NM007Hが筆頭。業務用筐体に組み込み、連続読み書きの負荷を丸一日かけても挙動が終始安定し、SASリンクの再交渉や不可解なリトライがほぼ見られなかった点が信頼の核になった。振動の伝播も抑え込みが良く、ラック全体での共鳴が少ないぶん、隣接ベイのパフォーマンス劣化が小さい。長時間のランダム混在ワークロードでもキャッシュの効きが素直で、スループットの谷が浅い印象。運用視点では監視ログが綺麗に揃い、夜間ジョブの見通しが立てやすい。次点はST20000NM007J。こちらは「安心して使える定番」の手触りで、シーケンシャル系の流し込みでムラが少なく、週次バックアップのウィンドウを読みやすい。ピーク負荷時にわずかに再配置っぽい挙動を感じる場面があり、複数ジョブが重なる環境ではスケジューリングの配慮で本領を発揮するタイプ。最後にST18000NM005J。静かな安定感があり、テストでも立ち上がりが軽快で扱いやすいが、重めのランダム混在を長時間回すと性能の波がやや出る。とはいえ運用記録は素直で、用途を絞れば十分に戦力。総評として、拡張性と運用安定の両立を重視するならST24000NM007Hがベストチョイス。容量・負荷のバランスで堅実に回すならST20000NM007J、静かな定常運用に合わせるならST18000NM005Jをおすすめしたい。
引用
https://www.seagate.com/jp/ja/support/internal-hard-drives/enterprise-hard-drives/exos-x24/
https://www.seagate.com/jp/ja/support/internal-hard-drives/enterprise-hard-drives/exos-x20/
https://www.seagate.com/jp/ja/support/internal-hard-drives/enterprise-hard-drives/exos-x18/
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