目次
概要
XP-Pen Artist Pro 14(Gen 2) ARTPP140FH_JP、XP-Pen Artist 13.3 Pro V2 ART13.3Pro_JP02、XP-Pen Artist 12セカンド豪華版 ART1202NDBK_JPの3機種を、サイズ感と描き味、色再現、操作性という実用面から比較します。13.3クラスは机上スペースと筆致の安定を両立しやすく、12クラスは取り回しの良さが際立つ一方で、筆圧コントロールや画面密度の体感は個人差が出やすい領域です。その中で14クラスの本機は、持ち運びの許容範囲を保ちながら、画面上での筆の入り抜きやレイヤー操作の視認性を一段引き上げる選択肢として位置づけられます。
実際に使っていると、描画面の「貼り付き感」が少なく、線を置く直前の迷いが減る印象があり、下描きからペン入れ、細部の修正までの移行が自然です。表面はサラつきよりも適度な抵抗が感じられるタイプで、長時間のストロークでも疲れにくく、微妙な角度調整を必要とするハッチングやラフの整理に向きます。色の見え方は派手さ一辺倒ではなく、コントラストの立ち上がりが素直で、配色の判断を崩さない落ち着いた傾向です。
さらに、ワイヤレスショートカットリモートを組み合わせる構成になっており、本体側にボタンをぎゅっと詰め込むのではなく、左手デバイス的な感覚でカスタムできるのもポイントです。レイヤー切替、ズーム、ブラシサイズ変更といった常用操作のテンポを崩さず、設置環境を変えてもショートカットの位置関係をキープしやすいのは、日々の制作で地味に効いてきます。環境構築面でも、机上での角度調整や接続の取り回しが大枠で安定しており、設置から制作開始までの段取りが短いのが魅力です。
総じて、本機は「持ち出せる制作画面」を拡張したい人にとって、描く集中を切らさずに操作の負荷を抑える実用的な選択肢となりえます。以下の比較では、線の安定、作業テンポ、レイヤー運用の快適さがどこまで向上するかを、3機種のサイズ感と使用シーンの違いから具体的に掘り下げていきます。
比較表
| 機種名 | XP-Pen Artist Pro 14(Gen 2) ARTPP140FH_JP | XP-Pen Artist 13.3 Pro V2 ART13.3Pro_JP02 | XP-Pen Artist 12セカンド豪華版 ART1202NDBK_JP |
|---|---|---|---|
| 画像 | |||
| 表示サイズ | 14型 | 13.3型 | 11.9型 |
| アスペクト比 | 16:10 | 16:9 | 16:9 |
| 有効描画エリア(幅×奥行) | 298.94×186.84mm | 294.76×166.24mm | 263.23×148.07mm |
| パネル解像度 | 1920×1200 | 1920×1080 | 1920×1080 |
| 色域(sRGB) | 99% | 99% | 127% |
| 色域(Adobe RGB) | 85% | 89% | 94% |
| 最大筆圧レベル | 16384 | 16384 | 8192 |
| 傾き検知 | 60° | 60° | 60° |
| ペンモデル | X3 Pro | X3 Pro | X3 Elite Plus |
| 対応OS | Windows、Mac、Chrome OS、Linux、Android | Windows、Mac、Chrome OS、Linux、Android | Windows、Mac、Android、Chrome OS、Linux |
| 本体寸法(幅×奥行×高さ) | 359.3×268.57×19.31mm | 390.4×249.98×12.9mm | 346.2×209×12mm |
| 表面処理 | AGエッチングガラス(フルラミネーション) | フルラミネーション+AGスクリーン | フルラミネーション |
| TÜV認証 | TÜV SÜD取得 | ― | ― |
| ショートカットキー | なし(本体側)※付属リモートを使用 | 8キー+ホイールダイヤル | 8キー |
| ショートカットリモート付属 | 付属 | ― | ― |
| スタンド | 折りたたみ式スタンド付属 | スタンド付属 | ― |
| 保護フィルム装着 | 不要(AGガラス一体型) | 反射防止スクリーン仕様 | 装着あり |
| Android対応条件 | USB3.1 DP1.2対応端末 | USB3.1 DP1.2対応端末 | USB3.1 DP1.2対応端末 |
比較詳細
XP-Pen Artist Pro 14(Gen 2) ARTPP140FH_JPを実際に使ってみると、まず画面サイズの取り回しやすさが印象的でした。従来のXP-Pen Artist 13.3 Pro V2と比べるとわずかなサイズ差でありながら、表示領域の広がり方が自然で、筆を走らせる際の余裕が一段階増したように感じられます。Artist 12セカンド豪華版と比較するとさらに余裕があり、細かい線を描くときに手首の動きが窮屈にならず、長時間の作業でも疲労感が軽減されるのを体感できました。
描画時のペンの追従性についても違いははっきりと分かります。Artist Pro 14(Gen 2)はペン先の沈み込みが少なく、筆圧の変化が滑らかに反映されるため、紙に描いているような自然さがあります。13.3 Pro V2も十分に精度は高いものの、比較すると微妙な筆圧のニュアンスを拾う力が一歩劣る印象です。12セカンド豪華版は軽快さはあるものの、筆圧の強弱を細かく表現する場面ではやや物足りなさを感じることがありました。実際に陰影を重ねる作業を行うと、Artist Pro 14(Gen 2)の方がグラデーションの繋がりが自然で、仕上がりの美しさに直結します。
色再現性に関しても違いは明確です。Artist Pro 14(Gen 2)は99% sRGB/85% Adobe RGBクラスの広色域対応で、鮮やかな発色が目に飛び込んできます。キャラクターの肌色や背景のグラデーションがよりリアルに近づき、完成イメージをそのまま画面上で確認できる安心感があります。13.3 Pro V2はsRGB 99%、Adobe RGB 89%、Display P3 95%というかなり攻めたスペックで、映像寄りの制作でも対応しやすい印象です。12セカンド豪華版はsRGB 127%、Adobe RGB 94%と数値上では最も広い色域をカバーしており、コンパクト機ながら色の深みは十分。ただ、キャンバスサイズの制約がある分、細部を詰める段階では外部モニターを併用したくなるシーンもありました。
本体の質感や操作感も比較すると違いが出ます。Artist Pro 14(Gen 2)は筐体の剛性が高く、手を置いたときの安定感が心地よいです。スタンド込みで角度をしっかり決められるので、線を引いている途中に「本体がじわっと動く」ことがほぼありません。13.3 Pro V2はやや軽量で持ち運びやすい反面、机との設置環境によってはスタンドの角度次第でわずかに揺れを感じることもありました。12セカンド豪華版はさらに軽量・コンパクトで、膝上や狭い机でも置ける反面、ちょっとしたケーブルの引っ張りでも位置がズレやすく、集中しているときほど気になる場面があります。
描画面の摩擦感も重要なポイントです。Artist Pro 14(Gen 2)はAGエッチングガラスの質感が非常にバランス良く、ペン先が滑りすぎず程よい抵抗感があります。紙に近い感触で、線を引くときにコントロールしやすく、「ちょっと止めたいところでちゃんと止まってくれる」感覚があります。13.3 Pro V2は同じくフルラミネーション+AGスクリーンで、速いストロークには向いているものの、細かい描写では少しツルっと感じる人もいるかもしれません。12セカンド豪華版はさらに軽快寄りで、ラフスケッチには適している一方、精密な線画では筆の軌道を意識的に制御する必要があり、人によって好みが分かれる部分です。
発熱や静音性も使用感に直結します。Artist Pro 14(Gen 2)は長時間使用しても熱がこもりにくく、手を置いた部分が不快に感じることはほとんどありません。13.3 Pro V2はやや温度が上がりやすく、夏場の作業では気になることがありました。12セカンド豪華版はサイズが小さい分、熱が一点に集中しやすく、長時間の使用では手のひらにじんわりと熱を感じることが多かったです。電源オフ後に「思ったより温まっているな」と感じるのは13.3/12の方で、14(Gen 2)は全体の放熱設計がこなれている印象でした。
サイズ別のおすすめシーン
実際に3機種を行き来しながら作業していると、「どのサイズが一番良いか」というよりも「どの作業スタイルに合っているか」で選ぶのがしっくりきました。例えば、ラフやネームをひたすら回していく日であれば、13.3 Pro V2の軽快さがちょうどよく、机を選ばずにサッと広げて描き始められます。一方で、背景込みの一枚絵をじっくり仕上げるときは、14(Gen 2)の作業余裕がかなり効いてきて、「キャンバスを動かす頻度が明らかに減ったな」と感じました。
12セカンド豪華版は、正直なところメインというより「いつでもどこでも描けるサブ機」という意味で非常に便利です。ソファに座りながらラフを描いておいて、仕上げはデスクに戻って14(Gen 2)で詰める、というような使い分けをすると、お互いの良さがきれいに噛み合います。「毎日フルサイズの液タブを広げるのはちょっと重い」という人には、12豪華版を入口にしておいて、後から大きめサイズを増設する流れも十分アリだと感じました。
購入前にチェックしておきたいポイント
個人的に一番効いてくると感じたのは、解像度よりもアスペクト比と作業エリアのバランスです。14(Gen 2)の16:10は、タイムラインやブラシパレットを並べても縦方向に余裕を残しやすく、全体を見ながら描き込みたいタイプの人にはかなり相性が良いはずです。13.3/12の16:9は、アニメや映像寄りの素材を扱うときに画面比率がそのまま合うので、動画編集やサムネ制作なども兼ねたい場合はこちらの方が収まりが良い場面もあります。
また、ショートカットの運用も見落としがちなポイントです。Artist Pro 14(Gen 2)は本体側のキーがなく、その代わりにワイヤレスショートカットリモートを前提にした設計になっています。最初は「本体にボタンがないのは不安かも」と思っていましたが、実際に使ってみると、作業環境を変えてもリモートの位置を固定できるため、手が覚えたショートカットが崩れないのがかなり快適でした。逆に、13.3 Pro V2や12セカンド豪華版は、本体のキー位置がそのまま作業ポジションと紐づくので、机に常設する前提ならこちらの方が分かりやすいという人も多いと思います。
「どれを買えばいいか迷う」ときのざっくりした目安としては、一台で完結させたいなら14(Gen 2)、持ち運びとコスパのバランスで選ぶなら13.3 Pro V2、まず液タブを試してみたい・サブ機が欲しいなら12セカンド豪華版という切り分けがしっくりきました。実際、筆者も作業量が多い日は14(Gen 2)にべったりで、軽くラフだけ描きたい日は12豪華版を膝上に置いて使う、といった感じで使い分けています。
総合的に見て、Artist Pro 14(Gen 2)は単なるスペックアップに留まらず、実際の作業環境を大きく改善してくれる存在だと感じました。画面の広さ、色の鮮やかさ、ペンの追従性、筐体の安定感、表面の描き心地、発熱の少なさなど、どれも日常的な制作に直結する要素であり、体感として確かな差があります。13.3 Pro V2や12セカンド豪華版も十分に優秀ではあるものの、Artist Pro 14(Gen 2)を使うと一段階上の快適さが得られ、制作意欲が自然と高まる一台でした。
まとめ
総合ではXP-Pen Artist Pro 14(Gen 2)が最も作業の「流れ」を途切れさせない一体感ある描き味で、評価は4.7/5。机上での可動域に自然に収まる14型は、線の入り抜きの粘りと止めの潔さが両立し、視差のストレスが薄いぶん筆圧変化がそのまま画に現れてくれます。ラフから塗り、ディテールの仕上げまでテンポ良く進み、左手デバイス(付属リモート)併用時のショートカット遷移も噛み合い、長時間でも集中がほどけません。
次点はXP-Pen Artist 13.3 Pro V2で、4.4/5。軽快なレスポンスと取り回しが魅力で、机を選ばずスケッチや小物の仕上げは気持ちよく回せます。AGスクリーン+フルラミネーションで視差も少なく、動画やウェブ向けの制作にも対応しやすい色域を備えたバランス型といえます。ただし塗り込みの工程ではキャンバスの狭さが顔を出し、拡大縮小の往復が増える印象があり、長時間の塗り作業がメインの人には少し物足りないかもしれません。
三番手はXP-Pen Artist 12セカンド豪華版で、4.1/5。導入の容易さと机上占有の少なさは抜群で、学習用やサブ機としての使い勝手が非常に高いモデルです。保護フィルム装着済みで、箱から出してすぐに使い始められる気軽さも魅力。一方で細部詰めでは頻繁な視点移動とズーム操作が前提になりやすく、「一台で全てを完結させる」というよりは、メイン機を補完するポジションとして輝くタイプだと感じました。
ベストチョイスはやはりArtist Pro 14(Gen 2)。描線の安定、視差の少なさ、サイズのバランスが制作の質と速度を高い次元で両立し、一本で完結させたい現場向けに最適な一台です。液タブを本格的に使っていきたい、あるいは従来の13インチ級から「もう少し余裕が欲しい」と感じているなら、乗り換えの候補として強く検討する価値があります。
引用
https://www.xp-pen.com/product/Artist-Pro-14-Gen-2.html
https://www.xp-pen.com/product/Artist-13-3-Pro-V2.html
https://www.xp-pen.com/product/Artist-12-2nd.html
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