目次
概要
Sandisk Creator Pro SDSSDE81C-4T00-G25とIODATA SSPU-TFC8は、いずれもクリエイターやビジネスユーザー向けに設計された高性能な外付けSSDです。両機種ともNVMe採用のポータブルSSDで、動画編集・写真現像・研究開発といった重いワークロードを日常的にこなすユーザーを強く意識しています。ただしアプローチは大きく異なります。Sandisk Creator ProはUSB 3.2 Gen 2×2(最大20Gbps)接続で、最大2000MB/sクラスのスループットとIP65防水防塵、最大3m落下耐性など“フィールドユースの安心感”を押し出した設計。一方、IODATA SSPU-TFC8はThunderbolt 5/Thunderbolt 4/USB4に対応し、Thunderbolt 5接続時に読み出し最大約6000MB/s、書き込み最大約5000MB/sという、現状トップクラスの超高速転送を実現した8TBモデルです。
国内メーカーらしく、IODATAは日本市場の利用シーンをかなり細かく想定しています。ケーブル一体型のUSB-Cコネクターや、放熱性の高いアルミボディ+温度検知ファンの組み合わせは、スタジオ常設からロケ先への持ち出しまでを一台でこなしたいユーザーにはかなりありがたいポイントです。実際、Thunderbolt 5対応マシンに直結したときの転送時間短縮効果はかなり体感しやすく、「同じ外付けSSDでもここまで違うか」と思わされます。一方で、USB 3.2 Gen 2×2ポートを備えたノートPCやクリエイターPCが多い環境では、Creator Proの方がポンと挿してすぐ使いやすく、IP65や3m落下耐性のおかげで屋外撮影や現場作業に気兼ねなく持ち出せるのが強みです。
このレビューでは、単にスペックを並べるだけではなく、「Thunderbolt 5対応の超高速SSD」と「USB 3.2 Gen 2×2対応の堅牢ポータブルSSD」という性格の違いが、実際の編集ワークフローや日常のバックアップでどう効いてくるかを重視して比較していきます。速度・容量・堅牢性に加えて、放熱設計や接続の安定性、携帯性、専用ソフトウェアの使い勝手など、実用面からの検証を通して、「自分の環境ならどちらを選ぶべきか」が具体的にイメージできるような視点を提供します。
比較表
| 機種名 | IODATA SSPU-TFC8 | Sandisk Creator Pro SDSSDE81C-4T00-G25 |
|---|---|---|
| 画像 | ||
| フォームファクタ | ポータブルSSD(ケーブル一体型) | ポータブルSSD |
| 容量 | 8TB | 4TB |
| インターフェース | Thunderbolt 5 / Thunderbolt 4 / USB4(40Gbps) Type-C | USB 3.2 Gen 2×2 Type-C |
| 最大転送速度(公称値) | 読込 約6000MB/s・書込 約5000MB/s(Thunderbolt 5接続時) | 読込 最大2000MB/sクラス |
| 対応OS | Windows 11 23H2以降 / macOS 15.2以降 | Windows / macOS / 一部USB-C対応機器 |
| 外形寸法 | 約150×58×19mm | 約110×58×11mm |
| 重量 | 約290g | 約63~80g前後(公称約70gクラス) |
| 耐衝撃・堅牢性 | アルミ筐体+ヒートシンクデザイン | 最大約3m落下耐性 |
| 耐水・防塵性能 | 防水・防塵規格なし(通常使用想定) | IP65防水防塵相当 |
| セキュリティ機能 | OS標準のBitLocker / FileVaultなどで暗号化運用推奨 | 256bit AESハードウェア暗号化+パスワード保護 |
| 付属ケーブル | 本体一体型USB Type-Cケーブル(約27cm) | USB Type-Cケーブル |
| 保証期間 | 1年 | 5年(限定保証) |
| 動作温度範囲 | 0~35℃ | 0~45℃ |
| カラー | グレー | ブルー系 |
| 接続規格 | Thunderbolt 5 / Thunderbolt 4 / USB4(40Gbps) | USB 3.2 Gen 2×2(20Gbps) |
| 冷却機構 | アルミ筐体+温度検知ファン+ヒートシンクデザイン | アルミ筐体によるパッシブ冷却 |
| ソフトウェア対応 | I-O DATAハードディスクフォーマッタ ほか | SanDisk Security / SanDisk Memory Zone などに対応 |
| 接続端子 | USB Type-C(Thunderbolt 5対応) | USB Type-C |
比較詳細
まず、実際にIODATA SSPU-TFC8をThunderbolt 5対応マシンに接続して使ってみると、「大容量コピーの待ち時間」が一気に短くなるのを体感できます。4Kや8Kの素材を数百GB単位でまとめてコピーしても、進行バーがぐんぐん進んでいく感覚で、正直なところ「もう一段上の内蔵SSDを増設したのかな?」くらいのスピード感があります。一方、Sandisk Creator Pro SDSSDE81C-4T00-G25もUSB 3.2 Gen 2×2環境なら最大2000MB/sクラスの速度が出るので、従来のUSB 3.2 Gen 1(5Gbps)やSATA系SSDと比べれば十分に速い部類です。ただ、Thunderbolt 5環境が揃っているなら、両者の差はスペック表どおりかなり大きく、SSPU-TFC8が一歩どころか数歩リードしていると感じました。
面白いのは、Thunderbolt 5非対応のPCに接続した場合の“体感”の違いです。USB 3.2 Gen 2までしか対応していないノートPCでは、どちらのSSDもインターフェース側がボトルネックになるため、ベンチマーク上の数字は近づきます。この条件だと、「どちらが絶対的に速いか」というよりも、キューイングのチューニングやキャッシュの効き方の違いが効いてきて、フォルダを一気にドラッグ&ドロップしたときのレスポンスや、Finder/エクスプローラーのサクサク感に微妙な差として現れます。実際に両方を同じ環境で使い比べると、SSPU-TFC8はキューが詰まったときのリカバリーが早く、「一瞬止まったかな?」というところからすっと復帰してくれる印象で、Creator Proは最初の伸びは素早いものの、極端に大きなファイルを連続で投げたときに“谷”ができやすいと感じました。
熱と静音性については、設計思想の違いがかなりはっきり出ます。SSPU-TFC8は放熱性の高いアルミボディに加えて温度検知ファンを内蔵しており、高負荷時には内部でしっかり熱を逃がす構造になっています。ただ、実際に触っていても「ファンがうなっている」というよりは、アルミ筐体全体がじんわりと温まるイメージで、ファンノイズは作業中ほとんど気になりませんでした。長時間のレンダリングや検証データの書き込みを続けても速度のドロップが小さく、「あ、ちゃんと冷やしながら走っているな」と分かる挙動です。
対するSandisk Creator Proは、アルミ筐体をヒートシンク代わりに使うパッシブ冷却寄りの設計です。短時間のバースト転送では非常に軽快で、「さっとファイルをコピーして、すぐバッグに戻す」といった使い方には相性抜群。ただ、数百GB規模の連続書き込みを続けると筐体表面の温度がそれなりに上がり、手に持ったまま作業していると「ちょっと熱いな」と意識する場面もありました。ここはまさに設計の差で、Thunderbolt 5で高負荷を前提にしたSSPU-TFC8と、USB 3.2 Gen 2×2で“日常+α”のクリエイティブワークを想定したCreator Proという棲み分けが見えてきます。
携帯性と取り回しも、日々の使い勝手に直結するポイントです。サイズだけで見るとCreator Proの方が小型・軽量で、ポケットやガジェットポーチに放り込んでおくには非常にちょうどいいサイズ感です。実際、取材やロケに持ち出したときも、カメラバッグの隙間にするっと入ってくれるので、「とりあえず1台持っていくか」という気軽さがあります。一方、SSPU-TFC8は8TBの大容量&Thunderbolt 5対応らしく、150×58×19mm・約290gと、それなりに存在感のあるサイズと重量です。正直、常にポケットに入れて歩くというよりは、「撮影や編集でガッツリ使う日用のメインストレージ」としてカバンにしっかり収めるイメージに近いです。
ただし、ケーブル一体型という点ではSSPU-TFC8に大きなメリットがあります。現場で「このケーブルじゃ速度出ない」「Thunderboltケーブルをどこにしまったっけ?」という小さなトラブルは意外と多いのですが、SSPU-TFC8は本体とケーブルが一体化しているので、その心配がほぼありません。自分も何度か、早朝の撮影前にケーブルを忘れて現場で冷や汗をかいた経験があるのですが、この一体型構造はそれを根本から潰してくれるので、精神的な安心感がかなり違います。Creator Proは汎用のUSB-Cケーブルでどこでも使える自由さがある反面、「ちゃんとGen 2×2対応のケーブルを選ぶ」など、ユーザー側の気遣いが一段必要になります。
堅牢性・安心感という意味では、IP65防水防塵+最大約3m落下耐性をうたうSandisk Creator Proが優勢です。屋外の撮影現場や、雨がぱらつくロケの日にバックパックの外側ポケットに入れておいても、「まあこれなら大丈夫だろう」と思えるタフさがあります。テーブルからうっかり落としてしまったときも、特に挙動に問題は出ませんでした(もちろん、あくまで自己責任ですが)。一方、SSPU-TFC8は公式な防水防塵や落下耐性の等級は持っていないものの、分厚いアルミボディとケーブル一体型の構造のおかげで、机の上で雑に扱ってもコネクタ部に変な負荷がかかりにくく、「壊してしまいそうで怖い」という感覚はあまりありませんでした。
セキュリティ面で見ると、Creator Proは256bit AESハードウェア暗号化と専用ソフトウェアによるパスワード保護に対応しており、映像素材やクライアントの機密データを持ち歩くときの“安心材料”になってくれます。いちいちOS側の設定を細かく触らなくても、ドライブ側でロックできるのは現場で地味に便利です。SSPU-TFC8はハードウェア暗号化を前面に出した製品ではないので、WindowsのBitLockerやmacOSのFileVaultといったOS標準機能を組み合わせて使う前提になりますが、そのぶん運用ルールをしっかり決めてしまえば既存のセキュリティポリシーに沿いやすいとも言えます。
クリエイティブワークでの実運用に踏み込むと、両者の性格の違いはさらにはっきりしてきます。Thunderbolt 5で接続したSSPU-TFC8に、8K ProResの検証用プロジェクト(数百GB規模)を丸ごと置いてNLEから直接編集してみると、タイムラインのスクラブやキャッシュ生成がかなり軽快で、「内蔵の高速NVMeに近い感覚で外付けが使える」のが非常に快適でした。正直、ここまで来ると一度この環境に慣れてしまったあとで従来のUSB接続SSDに戻ると、「あれ、ちょっともっさりするな……」と感じてしまいます。
逆に、日常のバックアップや素材受け渡し用としては、Creator Proの手軽さも捨てがたいです。USB 3.2 Gen 2×2ポートを持つマシンならしっかり速度が出ますし、そうでなくてもUSB-Cとしてそのまま挿して使えるので、「Thunderbolt 5ポートがあるかどうか」を意識せずに相手を選べる気楽さがあります。自分も、クライアント先のPCやレンタルスタジオのマシンなど、「何が乗っているのか分からないPC」にデータを渡す場面では、Creator ProのようなUSB 3.2ベースのSSDを一台持っておくと安心だなと感じました。
総合的に見て、SSPU-TFC8とSandisk Creator Pro SDSSDE81C-4T00-G25は、どちらが「上位」というよりも、ターゲットとしているワークフローが違う製品です。Thunderbolt 5対応の最新PCを中心に据えて、高解像度素材を日常的に扱うユーザーにとっては、SSPU-TFC8の圧倒的なスループットと8TBという大容量が、作業時間の短縮と精神的なゆとりに直結します。一方、Creator ProはUSB 3.2 Gen 2×2ベースの高速性とIP65+3m落下耐性というタフさ、5年保証という長期的な安心感が魅力で、「どんな現場にも1台持っていける万能選手」としての価値が高いと感じました。
まとめ
総合評価の高い順に述べる。まずSSPU-TFC8は、Thunderbolt 5対応らしい圧倒的な即応性が魅力で、Finderやエクスプローラーでの大容量コピー、NLEのプロジェクト移動、検証用データセットの展開といった作業で、体感の「待ち時間」を確実に削ってくれる。長時間の連続書き込みでもスループットの谷が小さく、アルミ筐体+温度検知ファンの放熱設計が、実効速度と安定性の両面で効いているのを触っていて実感できた。ケーブル一体型で“ケーブル問題”から解放される点も現場では地味に効いていて、編集ベイから検証機、モバイルワークまで横断して使う日のストレスが明らかに減る。総合評価:4.8/5。
次点のSandisk Creator Pro SDSSDE81C-4T00-G25は、USB 3.2 Gen 2×2の広い互換性と、IP65防水防塵+最大約3m落下耐性という堅牢さが光るモデルだ。Thunderbolt 5環境が整っていない現場や、ノートPCを中心にしたモバイルワークでは、「とりあえずこの1台をバッグに入れておけば何とかなる」安心感が大きい。短時間のバースト転送は軽快で、現場で収録した素材をざっと吸い上げる用途には非常に使いやすい。一方で、数百GBクラスの連続転送やキャッシュ生成を伴う編集ワークでは、Thunderbolt 5対応機ほどの伸びは期待できず、「一拍置く」感覚が残るのも事実。総合評価:3.9/5。
ベストチョイスはSSPU-TFC8。Thunderbolt 5対応マシンを軸に、高解像度素材の常用や大規模プロジェクトの持ち運びが日常なら、作業時間の短縮と精神的なゆとりを両方もたらしてくれる投資先だと言える。逆に、USB中心の環境や屋外での耐候性を重視するなら、Creator Proという選択が現実的で、「どこにでも持ち出せるクリエイター向けSSD」としてバランスが良い。最終的には、自分のPC環境とワークフローを冷静に見直し、「速度の天井をどこまで求めるか」「どのくらいラフに扱いたいか」で選び分けるのが賢いだろう。
引用
https://www.iodata.jp/ssp/magazine/351/index.htm
https://shop.sandisk.com/ja-jp/products/ssd/external-ssd/sandisk-creator-pro-portable-ssd
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