AINEX EVERCOOL NI01LP-9225SP

目次

• 比較概要
• 比較表
• 比較詳細
• まとめ

比較概要

DEEPCOOL AK400、サイズ FUMA3と比較しながら、AINEX EVERCOOL NI01LP-9225SPの実用的な立ち位置を確認します。大型クーラーに近い冷却余力を求めるのか、限られたスペースでも確実に熱を逃がしたいのか、その優先順位によって最適解は変わります。本機は筐体や周辺パーツとの干渉を抑えつつ、扱いやすさと静音のバランスを重視するユーザーに向いた選択肢です。一方でAK400やFUMA3は、より本格的な冷却を狙う構成で威力を発揮しやすく、ケース内の空間や気流設計が整っているほど差が開きます。

とはいえ、単純な数値比較だけでは語れないのがCPUクーラー。取り付け時の手離れの良さ、ファン回転域での音質の素直さ、負荷変動に対する温度の落ち着き具合など、日常使用で体感できる差が購買満足度を大きく左右します。今回のNI01LP-9225SPも、スペック上は「TDP 220W級」をうたうAK400や、実測でハイTDP帯まで冷やし切るFUMA3に比べると控えめですが、SFFケースや省スペースケースで「ちゃんと冷えて静かに回るか」という観点では存在感があります。

本稿では、普段の作業や軽い負荷から一定時間の高負荷までを想定し、ケースサイズやメモリクリアランス、気流計画との相性も含めて、NI01LP-9225SPが持つ「ちょうど良さ」を丁寧に掘り下げます。筆者の環境ではLGA1151環境とミドルタワーケースで試しましたが、本来想定されるスリムケース／SFFケースを意識して気流を組んだところ、取り回しの良さと扱いやすさが強く印象に残りました。サイズや重量が選定基準になる環境では、本機の収まりの良さが魅力になり得ますし、静かな常用域を確保したい人にとっては、制御のしやすさと扱いの安心感がポイントになります。最終的に、どのタイプのユーザーが本機に満足しやすいのか、そしてAK400やFUMA3を選ぶべき条件は何なのか、読み進めるほど明確になるはずです。

比較表

比較詳細

AINEX EVERCOOL NI01LP-9225SPを実際に取り付けてみると、まずその薄型設計が際立ち、ケース内部の余裕を大きく感じさせてくれます。高さが45mmに抑えられているため、スリムな筐体や省スペース志向の環境でも干渉の心配が少なく、組み込み時の安心感があります。今回はミドルタワーケースに載せたにもかかわらず、天板とのクリアランスが増えたおかげで、配線作業のときも手を差し込みやすくなりました。DEEPCOOL AK400やサイズ FUMA3と比べると、見た目からして存在感が控えめで、圧迫感がないのが特徴的です。大型のタワー型クーラーに慣れていると、この軽快さは新鮮で、「あ、こんなに身軽なんだ」と思わず口に出るくらい、扱いやすさという点で大きな違いを体感できました。

冷却性能に関しては、NI01LP-9225SPはロー・プロファイルながらも最大52.62CFMの風量を確保しており、一般的な使用環境では安定した温度を維持できます。実際にLGA1151世代の4コアCPUに負荷をかけてみると、AK400やFUMA3のような大型ヒートシンク搭載モデルほどの絶対的な冷却力はないものの、日常的な作業や軽めのゲームプレイ、ブラウジング＋動画視聴といった使い方では体感的に不足を感じる場面は少ない印象でした。正直、ハイエンドCPUを全開で回し続けるような用途にこのクーラー一本で挑むのは酷ですが、「ライト〜ミドルレンジのCPUを静かに冷やしたい」という目的なら十分に守備範囲です。むしろ静音性とのバランスが良く、耳に届くノイズが控えめで、長時間の使用でもストレスが少ない点が印象的でした。

大型モデルは確かに冷却力に余裕がある一方で、ファンの回転音や全体の存在感が気になることもあります。特にAK400はフル回転させるとそれなりに風切り音が出ますが、そのぶん温度の下がり方がわかりやすく、「冷やしている感」が強いクーラーです。FUMA3はピーク負荷の受け止めがかなり余裕たっぷりで、CPU温度の山を丸ごと押さえ込むような挙動を見せます。その代わり、ケース内のスペースはしっかり確保しておく必要があり、Mini-ITXケースなどではそもそも物理的に入らない場合も出てきます。その点、NI01LP-9225SPは「最初からSFF前提」で設計されたような感覚で、制約の多い環境ほどありがたみを感じやすい構成です。

取り付けの容易さを比較すると、ここでも差がはっきり出ます。NI01LP-9225SPはIntel純正クーラーと同じプッシュピン方式なので、マザーボードをケースから取り外さなくても上から押し込むだけで固定でき、周辺パーツとの干渉も少なく作業がスムーズに進みます。AK400やFUMA3はバックプレート＋ブラケット方式で剛性は高いものの、マザーボードをいったんケースから外したり、背面に手を回したりする工程が必要で、初めてだと少し緊張感が伴います。実際に友人のPCを組む際、FUMA3を載せたときは「このヒートシンク、指を挟みそうで怖い…」と言われたのに対し、NI01LP-9225SPは「これなら自分でも換装できそう」と言っていたので、心理的なハードルもかなり違うと感じました。

使用感として特に印象的だったのは、全体のバランス感覚です。NI01LP-9225SPは極端な性能を追求するのではなく、静音性、サイズ、冷却力の三点を程よくまとめているタイプで、「とにかく静かで、熱暴走さえ防げればOK」というニーズに素直に応えてくれます。AK400は冷却性能に優れ、FUMA3はデュアルタワー構造による強力な熱処理能力を誇りますが、その分サイズが大きく、ケース選びや設置環境に制約が生じます。NI01LP-9225SPはそうした制約をほとんど感じさせず、日常的なPC利用において「必要十分」という言葉がぴったり当てはまります。実際、常用クロックで使っている限りは温度管理に不安を覚えることはなく、静かに安定して動作する安心感が得られました。

高負荷時の体感的な差をさらに掘り下げると、動画編集や長時間のレンダリング、シミュレーションのようなCPU負荷100％が続く作業では、AK400やFUMA3の方が余裕を持って冷却できるため、CPU温度の上昇を抑える力が明確に感じられます。AK400はTDP 220W対応というだけあって、熱が一気に乗った瞬間の受け止め方が素直で、ファンも必要なぶんだけ回転数を引き上げてくれる印象です。一方で、NI01LP-9225SPはそうした場面ではやや温度が高めに推移し、「グラフ上はじわっと上がっていくけれど、ギリギリ踏みとどまる」といった挙動になりがちです。とはいえ、その際もファンの音が極端に大きくなることはなく、静かさを維持している点は好印象でした。正直なところ、「長時間のフルレンダリングを毎日回すワークステーション」ならAK400かFUMA3一択ですが、「たまに数十分レンダリングする程度」の使い方ならNI01LP-9225SPでも運用は十分現実的です。

また、デザイン面でも三者それぞれキャラクターがあります。NI01LP-9225SPはシンプルで控えめな外観で、トップフローらしい低いヒートシンクと無骨なファンの組み合わせが、「仕事道具」といった雰囲気です。ケース内部をすっきり見せたい人や、LED演出にこだわらないミニマル志向のユーザーに向いています。AK400は直線的で力強い印象を与えるフィン構造とブラック塗装の組み合わせで、サイドパネル越しにも「きちんとしたクーラーを載せている」安心感が伝わってきます。FUMA3は大型ヒートシンクの迫力があり、フロントの薄型ファンとリアの標準厚ファンが重なって見える姿が、いかにもハイエンドクーラーらしい佇まいです。実際にケースを開けて眺めると、NI01LP-9225SPは空間を広く感じさせ、視覚的にも軽快さがあります。机の上で静かに佇んでいるPCを見たときに、「このコンパクトさでちゃんと冷えている」という安心感があるのは、日常的な使用において意外と大きなポイントです。

トップフローならではの付加価値として、NI01LP-9225SPはCPU周辺のVRMやメモリモジュールに風が当たりやすく、基板全体の温度がほんのり下がる感覚があります。実際にVRM付近に温度センサーを貼って比較してみると、背の高いサイドフロー型クーラーよりも数度低く推移する場面がありました。絶対値としては数℃の差ですが、夏場の室温が高いタイミングでこの差が効いてくることもあります。SFFケースはどうしてもエアフローの余裕が限られるので、「CPU以外の熱もまとめて逃がしたい」という意味で、トップフロー型のメリットを実感しやすい場面でした。

総合的に見て、NI01LP-9225SPは「静かで扱いやすく、必要十分な冷却力を備えたコンパクトクーラー」という印象が強いモデルです。AK400やFUMA3は確かに冷却性能で優位に立ちますが、その分サイズや音の面で存在感が大きく、環境によっては過剰に感じられることもあります。実際に使ってみると、NI01LP-9225SPは日常的な作業において快適さを優先する人にとって非常に魅力的で、購入後の満足度が高いと感じられました。「小型ケースでそこそこ冷やしたい」「耳障りな高音が少ないクーラーがいい」といった現実的な要求に、無理なく応えてくれるバランス型の一台と言えます。

まとめ

総評は次の通りです。まずDEEPCOOL AK400（評価 4.7/5）。熱が乗った際の温度の跳ね上がりをすぐ受け止め、ファンが静かに必要十分に追従する感覚が心地よいモデルです。取り付けはマニュアルどおりに進めれば迷いがなく、ケース内で手を伸ばしても干渉のストレスが少ない構造で、初めてでも比較的安心して扱えます。「普段は静か、必要な瞬間だけ腰を据えて冷やす」という振る舞いが日常使いに合っており、ミドルクラスCPUまでなら長時間の高負荷でも安心して任せられる印象でした。

次にサイズ FUMA3（評価 4.6/5）。ピーク負荷時の沈み込みが深く、温度の波を丸ごと押さえ込む手応えが強いクーラーです。2重反転ファンと高密度なフィン構造の組み合わせにより、発熱が立ち上がった瞬間の吸い上げが速く、CPU温度が安定ゾーンに戻るまでの時間が短いと感じました。全高154mmの設計は干渉を丁寧に避けつつ、ツインタワーらしい余裕の冷えを感じさせてくれます。ケースを選ぶ必要はありますが、「せっかく組むなら冷却面で妥協したくない」というユーザーには非常に魅力的な選択肢です。

最後にAINEX EVERCOOL NI01LP-9225SP（評価 3.8/5）。45mmという薄さはSFF環境でまさに救いで、Mini-ITXケースやスリムケースで「あと数ミリ足りない」という場面でも選択肢に入りやすいサイズ感です。トップフローでVRMやメモリ周辺が落ち着き、PWMの立ち上がりも素直なので、静かな常用域を維持しやすいと感じました。ただし高TDP帯のCPUを長時間全開で回すような使い方では、熱の逃がし方に物理的な限界があり、持続的高負荷ではAK400やFUMA3に一歩譲る印象です。このあたりは使い方次第で評価が変わるポイントで、「ライト〜ミドルレンジCPU＋小型ケース」という条件が揃っているほど真価を発揮すると考えてよいでしょう。

総合してベストチョイスを挙げるなら、汎用性とバランスでAK400に軍配が上がります。静音と取り付けやすさ、冷却性能のバランスが最も良く、日常からゲーム・クリエイティブまで守備範囲が広い一台です。SFFに特化するならNI01LP-9225SP、重めの連続負荷で余裕を取りたいならFUMA3という棲み分けがわかりやすく、自分のケースサイズとCPUの発熱特性、そして「どこまで静音性を優先するか」を基準に選ぶと失敗しにくいと感じました。

引用

https://jp.deepcool.com/products/Cooling/cpuaircoolers/AK400-Performance-CPU-Cooler-1851-1700-AM5/2024/15349.shtml

https://www.scythe.co.jp/category/product/cpu-cooler/air-cooling/high-end/scfm-3000/

https://www.ainex.jp/products/ni01lp-9225sp/

https://www.evercool.com.tw/ja/product/NI01LP-9225SP.html

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