目次
比較概要
Logicool G PRO X SUPERLIGHT 2とRazer DeathAdder V3 Proは、いずれもゲーミングマウス市場で高い評価を得ている代表的なモデルです。軽量設計や高精度センサー、長時間の使用に耐える快適な形状など、それぞれが独自の強みを持ち、プロゲーマーから一般ユーザーまで幅広く支持されています。これらの機種と比較する対象として登場したのが、エレコム V custom VM800L M-VM800Lです。
VM800Lは、国内メーカーならではの細やかな設計思想を反映し、数値スペックだけでなく「実際に触ったときの気持ちよさ」を重視したモデルです。PixArt PAW3950DMセンサーによる最大30,000DPI・750IPS・50Gというハイスペックに加えて、UWB(超広帯域)無線と最大8KHzポーリングレートの組み合わせにより、ワイヤレスでありながらハイエンド有線クラスの応答性を狙った構成になっています。右手専用のハーフエルゴ形状は、「かぶせ持ち」「つかみ持ち」を想定したカーブが巧みに盛り込まれており、手の大きいユーザーでも安定して握り込める点がポイントです。
一方、G PRO X SUPERLIGHT 2は60gという超軽量ボディとHERO 2センサーの組み合わせにより、500IPS超・40G超のトラッキング性能を実現しつつ、バッテリー持続時間も最大約95時間と非常に優秀です。DeathAdder V3 ProはRazer Focus Pro 30Kセンサーを搭載し、750IPS・70Gという余裕のあるトラッキング性能と、右手用エルゴノミクス形状による安定したホールド感が特徴です。どちらかと言えば「軽さとニュートラルさのG PRO X」「大ぶりなエルゴと安定感のDeathAdder」という立ち位置で、その中間にVM800Lが入り込む構図になります。
今回の比較では、海外ブランドの定番モデル2機種と、UWB+True 8Kという新しい切り口で挑む国産VM800Lを並べることで、単なる数値の優劣ではなく「操作感」「疲れにくさ」「セッティングのしやすさ」といった実用面の違いを掘り下げていきます。実際に3機種を持ち替えながらプレイしていると、カタログスペックだけを見ていたときには気づかなかった差がじわじわ見えてくるので、自分のプレイスタイルに合う1台を選ぶ際のヒントになるはずです。
比較表
| 機種名 | エレコム V custom VM800L M-VM800L | Logicool G PRO X SUPERLIGHT 2 | Razer DeathAdder V3 Pro |
|---|---|---|---|
| 画像 | |||
| 発売日 | 2025年9月下旬 | 2023年10月 | 2022年8月 |
| タイプ | 光学式 | 光学式 | 光学式 |
| 接続方式 | UWB無線/有線(USB) | 無線(LIGHTSPEED) | 無線(2.4GHz)/有線(USB) |
| センサー | PixArt PAW3950DM | HERO 2 | Razer Focus Pro 30K |
| DPI最大値 | 30000 | 32000 | 30000 |
| ポーリングレート | 最大8000Hz | 最大2000Hz | 最大8000Hz(ドングル使用時) |
| ボタン数 | 6 | 5 | 5 |
| 重量 | 64g | 60g | 63g |
| サイズ(幅×高さ×奥行) | 70×43×130mm | 63.5×40×125mm | 68×44×128mm |
| 最大トラッキング速度(IPS) | 750IPS | 500IPS超 | 750IPS |
| 最大加速度(G) | 50G | 40G超 | 70G |
| スイッチ | 光学式スイッチ(約8000万回) | LIGHTFORCEハイブリッド | 第3世代オプティカル(約9000万回) |
| バッテリー持続時間 | 最大約100時間(1000Hz時) | 最大約95時間 | 最大約90時間 |
| 充電方式 | USB Type-C(内蔵バッテリー) | USB Type-C/POWERPLAY対応 | USB Type-C |
| ケーブル長 | 約1.5m | 約1.8m | 約1.8m |
| カラー | ブラック/ホワイト | ブラック/ホワイト/マゼンタ | ブラック/ホワイト |
| エルゴノミクス形状 | ハーフエルゴ(右利き用) | 左右対称 | 右利き用エルゴノミクス |
| リフトオフ距離調整 | 3段階 | 調整可能 | 26段階 |
| ソフトウェア | EG Tool | Logitech G HUB | Razer Synapse |
比較詳細
エレコムのV custom VM800L M-VM800Lを手に取った瞬間、まず感じるのは独特のフィット感で、掌にすっと馴染む形状が自然に操作を誘導してくれる点です。手首から薬指の付け根にかけてのラインを受け止めるカーブがよく考えられていて、「あ、これはLサイズ前提で作り込んでいるな」とすぐ分かります。Logicool G PRO X SUPERLIGHT 2は極限まで軽量化されているため、指先で軽快に振り回すような感覚が強く、まるで空気を掴んでいるような軽さ。一方でRazer DeathAdder V3 Proはやや大ぶりなフォルムが特徴で、包み込むようなホールド感が安心感をもたらします。VM800Lはその中間に位置するような印象で、軽さと安定感のバランスが絶妙に調整されているため、長時間の操作でも疲労が少なく、自然に手が延びていくような快適さがあります。
センサーの追従性に関しても体感差は明確です。VM800Lは30,000DPI・750IPS・50G対応のPixArt PAW3950DMを搭載し、高速な振りでもカーソルがブレず、意図した通りに反応してくれます。特に、UWB無線と最大8KHzポーリングレートの組み合わせは、振り返りエイムやマイクロフリックの戻りでも入力遅延を意識させないレベルで、ワイヤレス特有の「ほんの少し遅れているかも?」という不安感をかなり抑えてくれます。
LogicoolのG PRO X SUPERLIGHT 2は、HERO 2センサーにより500IPS超・40G超というトラッキング性能を持ちつつ、本体重量60gと圧倒的な軽さが相まって、まるで指先の延長線上にポインタがあるかのような直結感を生み出します。DeathAdder V3 ProはFocus Pro 30Kセンサーと750IPS/70Gのスペックを備え、やや重め・大きめのボディによる安定志向のトラッキングが特徴で、狙いを定める際に落ち着いた精度が得られます。VM800Lは両者の良さを取り込んだような挙動で、軽快さと安定感を同時に味わえるのが魅力です。
クリック感の違いも操作体験に直結します。VM800Lは高耐久の光学式スイッチを採用しており、押下時の反発が程よく、指先に心地よい跳ね返りを返してくれるため、連続クリックでもストレスが少ないです。オプティカルスイッチらしい応答性の速さは維持しつつ、カチッとした手応えも残してあるので、「軽すぎて押した気がしない」という印象はありません。LogicoolはLIGHTFORCEハイブリッドスイッチにより、極めて軽いタッチで反応しつつ、メカニカルらしいクリック感も両立しており、瞬発的な入力がしやすい一方、慣れないうちは誤入力につながる場面もあります。Razerは第3世代オプティカルスイッチを採用しており、クリックがやや重めで、確実に押したという安心感が強いタイプです。
個人的な体感としては、VM800Lのクリックは「ゲームも作業もどちらもいける中庸寄り」、G PRO X SUPERLIGHT 2は「ゲーム特化の軽さ」、DeathAdder V3 Proは「じっくり構えて撃つ人向けの重め」といった印象でした。実際にVM800Lを一週間ほど仕事とゲームの両方で使ってみると、ブラウザ操作やテキスト編集のような日常用途でもクリックのリズムが取りやすく、意外と「普段使いの一本」としても成立してしまうバランスの良さがあります。
ホイールの操作感も比較すると差が際立ちます。VM800Lのホイールは滑らかでありながら適度な抵抗があり、スクロール時に指先の動きをしっかりと伝えてくれます。ウェブページやタイムラインを少しずつ送りたいときにも微調整がしやすく、「行き過ぎたから戻る」というストレスが少ないタイプです。Logicoolは軽快に回転するため素早い移動には非常に適しているものの、細かい調整にはやや慣れが必要です。Razerは明確なノッチ感のあるホイールで、段階的な操作が得意ですが、長時間のスクロールでは少し疲労を感じることがあります。VM800Lはその中間的な性質を持ち、精密な操作とスムーズな移動を両立しているため、作業用途でもゲーム用途でも違和感なく使えます。
握り心地に関しては、VM800Lのハーフエルゴ形状が特に印象的です。手のひらを自然に支えるカーブがあり、指の配置が無理なく決まるため、長時間の使用でも手首や指に負担が少ないと感じました。普段「つかみ持ち寄りのかぶせ持ち」をする自分の手だと、Lサイズのボディがちょうど良く、手の大きさを理由にマウスを選び直す必要がなくなった感覚があります。Logicoolは軽量さを優先した結果、ややシンプルなシェイプで、持ち方によってはフィット感が薄いと感じることもありますが、その分どんなグリップスタイルにも合わせやすい万能さがあります。Razerは大きめのボディが手全体を包み込むように支えるため、安定感は抜群ですが、手の小さい人にはやや大きすぎる印象を与えることもあります。
滑りやすさ・マウスソールの感触も操作感に直結します。VM800Lは肉抜きのないホールレスシェルながら、約64gという軽量化を実現しており、厚みのあるPTFEソールとの組み合わせでマウスパッド上をスムーズに移動できます。付属の交換用ソールで接地面積を変えられる「2-Modeシステム」により、スピード寄り・コントロール寄りの好みをある程度追い込めるのも嬉しいポイントです。Logicoolは軽量ボディとPTFEソールの組み合わせで、まるで氷上を滑るような軽快さがあり、そのぶんストッピングや微調整を自分でしっかり制御する必要があります。Razerはやや重みがある分、動きが落ち着いており、狙いを定める際に安定感があるタイプです。
通信方式に目を向けると、VM800LのUWB無線はかなりユニークです。従来の2.4GHz帯ではなく、7.25~9.30GHzの広い帯域を使うことで、Wi-FiやBluetooth、電子レンジなどとの干渉を避けつつ、1秒間に最大8000回のレポートを安定して飛ばせる設計になっています。実際、2.4GHz帯のデバイスが密集している環境でVM800Lを使ってみても、ポーリングレートを上げたときの挙動が乱れにくく、「ワイヤレスでここまでやるか」という印象でした。一方で、G PRO X SUPERLIGHT 2は2000HzまでのLIGHTSPEED無線により、すでに多くのプレイヤーから信頼を得ている安定性を持った王道構成、DeathAdder V3 Proは標準1,000Hz+別売りのハイポーリングドングルで拡張するスタイルです。
実際に使い続けてみると、VM800Lは「疲れにくさ」という点で特に優れていると感じました。軽さだけでなく、クリックやホイールの抵抗感、シェル形状、ソールの滑りのバランスが絶妙に調整されているため、長時間の使用でも指先に余計な力を入れる必要がなく、自然に操作できます。G PRO X SUPERLIGHT 2は軽快さが魅力で、瞬発的な操作には最高ですが、軽すぎるぶん細かな制御に神経を使う場面もあります。DeathAdder V3 Proは安定感が強く、中~高センシのプレイヤーには心強い一方、重量感があるため低センシで大きく振るスタイルだと疲労が蓄積しやすい側面もあります。
総じて、VM800Lは軽さと安定感を両立させたバランス型のマウスであり、G PRO X SUPERLIGHT 2の軽快さとDeathAdder V3 Proの安定感の良い部分を取り込んだような存在です。実際に操作してみると、スペック表だけでは分からない「使いやすさ」が体感としてしっかり感じられ、長時間の使用でも疲れにくいという点は大きな魅力です。「ワイヤレスでも入力遅延は妥協したくない」「でも、軽すぎて手元が落ち着かないマウスは苦手」という人に、VM800Lはかなり有力な候補になると感じました。
まとめ
総評は、良かった順に「Logicool G PRO X SUPERLIGHT 2(95点)」「ELECOM V custom VM800L M-VM800L(93点)」「Razer DeathAdder V3 Pro(88点)」という結果になりました。G PRO X SUPERLIGHT 2は軽さとニュートラルな形状が絶妙で、どの持ち方でも違和感がなく、試合中の狙い直しが自然につながります。使っていて「道具が消える」感じがあり、集中が途切れないのが最大の強みです。
VM800Lは右手専用のハーフエルゴが手のひらの支点を作り、UWB無線と最大8KHzポーリングによる安定感も相まって、中距離の追従が気持ちよく、肩に力が入りにくい設計です。表面がやや滑りやすい印象はあるものの、ソールのセッティングが決まると滑走の質とクリックのリズムが揃い、「国産ゲーミングマウスの本気」をしっかり感じられます。DeathAdder V3 Proは大ぶりなエルゴで手首負担が少なく、エイム軸を作りやすい一方、細かい修正には慣れが必要で、机上の可動域やグリップのチューニング次第で評価が分かれるタイプです。
ベストチョイスは「Logicool G PRO X SUPERLIGHT 2」。どの環境でも破綻しない万能感と仕上げの良さで、日々の練習から本番まで安定して成果に繋げられると感じました。そのうえで、「右手エルゴ形状が好き」「ワイヤレスでも応答性に一切妥協したくない」という条件が揃うなら、VM800Lを強く推したいです。私自身は、長時間でも肩の力みが抜け、UWBの安定性がプレイ中の雑念を減らしてくれる感覚があり、「このままメインマウスにしてもいいかな」と素直に思える仕上がりでした。
引用
https://www.elecom.co.jp/products/M-VM800LWH.html
https://www.logitechg.com/ja-jp/products/gaming-mice/pro-x-superlight-2.html
https://www.razer.com/jp-jp/gaming-mice/razer-deathadder-v3-pro
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